ご覧くださいましてありがとうございます。今回は、 “農業”の経営のプラスとなる、”補助金”についてのお話しです。
少々長文ですが、お付き合いいただければ嬉しいです。
皆さんは、国や自治体がたくさんの種類の補助金を用意していることをご存知でしょうか?
もし皆さんが自分に合った 補助金を上手く見つけて活用することができれば、機械の購入や施設の整備などを有利に進めることができて、
今後の 農業 経営を一層発展させることに繋げることができます。そんな補助金の利用のポイントについての記事になります。
あなたは、農業を経営していく中で、もっと資金があればいいなあと思ったことはありませんか?
資金があれば機械を買ったり、施設を整備したり、人を雇ったりすることで、様々な作業の効率を良くしたり、負担を軽くすることができるからです。
農業者の高齢化が進んで人数が今後大きく減少することが予想される中、農業者1人が受け持つ農地の面積が大きくなることが考えられます。作業の効率を上げたり、人の数を増やすことができなければ、今までせっかく綺麗に整備されていた土地や施設も使いきれなくなって、荒れていってしまうかもしれません。
しかし、補助金を上手く活用できれば、新しい機械や施設を導入することによって作業を効率化したり、大切な仲間を迎えたりすることで、ご自身の農業経営を成長させることはもちろん、地域全体の農業の発展にも繋がる可能性があります。
今回は、補助金を活用できるようにポイントをお伝えしていきます。
【1.補助金とは】
補助金とは、ざっくりと説明すると、国や自治体が、産業や地域の活性化など、それぞれの課題を解決する目的で、課題解決に取り組む人や団体などを支援するお金のことです。似たものに助成金や交付金もありますが、ここでは違いについては詳しく触れないで進めます。
農業をしていくには、作る作物にもよりますが、トラクターやハウスなど、必要な機械や施設、働く人の人件費などにお金がかかります。補助金には機械や施設への設備投資や、人材確保に使えるものがありますので、上手に活用していきたいですよね。
【2.補助金の目的と対象】
補助金を手に入れるにはいくつかの関門があり、要件を満たして乗り越えていく必要があります。
そのために、まずすることは、自分に合っているものかどうか確認して、選ぶことです。
つまり、
「自分はその補助金の対象になっているのか」と
「自分の使いたいものに使えるのか」
という2点を確認することが必要です。
補助金というのは、経済や産業の活性化といった、政策的な目的のためにもらえるお金なので、補助金ごとに「対象者」や「使いみち」が決められています。欲しいと思っている補助金の条件に自分が合っているかを確認したり、自分の考えている使いみちが補助金の対象に含まれているかどうかを確認することが必要になります。
農業者の方が使える補助金は、「対象者」によって大きく3つに分けることができます。まず、この点から検討するのが良いのではないでしょうか。
その3つとは、
①認定農業者・認定新規就農者向け
②農業者向け
③中小企業、個人事業主向け
この3つになります。順番にご説明します。
まず、①認定農業者・認定新規就農者向けのものについて。
認定農業者や認定新規就農者というのは、とてもざっくり言うと、ある程度の規模以上の経営をされている方などで、市町村から経営計画について認定を受けている方のことです。地域の農業の中心となっていくことを期待されている方と言うことができ、補助金も、安定した農業経営のできる経営体を育成する目的のものとなっています。例としては、認定新規就農者向けの経営開始資金というものがあります。認定農業者や認定新規就農者になるには年齢や経営計画の作成などの要件があるのですが、補助金以外にも低利で受けられる融資などのメリットがありますので、一度要件を確認して、検討してみてはいかがでしょうか。
次に、②農業者向けのものについて。
これは、農業に関連する特定の課題を解決するために活動をしてくれる団体や人などに対して資金を援助して、活動を促進するものが多いです。例としては、日本農業の国際競争力を高める目的の産地生産基盤パワーアップ事業や、環境にやさしい農業の取り組みへの支援を支援する環境保全型農業直接支払交付金があります。ご自身のされている活動や、今後していきたい活動が当てはまるものがあれば候補となります。
次は、③中小企業や個人事業主を対象にした補助金について。
これは対象を中小企業や個人事業主としていますが、農業者の方も使えるものです。補助金の中ではメジャーなものが多く、事業再構築補助金、ものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金が代表例といえます。補助額が大きいものもあり、設備投資や販路拡大を検討しているなら、こちらも検討してみてはいかがでしょうか。ただし、補助額の大きいものほど要件が厳しかったり、競争が激しかったりしますので、書類の作り込みが重要になってきます。
【3.補助金のいいところと注意するところ】
ここでは、補助金のいいところと注意するところについてご説明します。
まず、いいところについては、経営資金をもらえるということです。補助金は融資と違って、基本的に返済がありません。その点を考えれば、資金面で純粋にプラスになりますので、いいところと言えます。ただし、補助を受けたことで利益がある程度以上出た場合は、計算で求められた額を納めなければならなくなる場合がありますので注意が必要です。
次に注意点についてお話ししたいと思います。とても重要な注意点がありますのでご紹介します。ここはぜひ気をつけていただきたいところです。
その注意点は、
①後払いであること
②お買い物できるタイミングが決められていること
③手続きが多いこと
④使いみちが限られていること
の4点です。
①後払いであること
補助金は、後払いです。なんといっても、これが重要です。補助金でもらったお金と自己資金をあわせて欲しい設備を買おう、ということができません。一旦全額を自腹で支払って設備を購入した後、申請がめでたく認められれば、後から補助額が入金されるという順番になります。ですので、自己資金で賄えない高額のお買い物をするときには、補助金の申請とあわせて融資を検討する必要があります。
また、補助金を実際に受け取るまでには長く時間がかかります。補助金を見込んで買い物をした結果、運転資金がなくなってしまうという事態にならないように注意が必要になります。
②お買い物できるタイミングが決められていること
補助金には、「いつからいつまでの間に契約して支払った分しか認めません」という縛りがあります。つまり、自分の好きなタイミングでお買い物をすることができず、タイミングが決まってしまっているので、導入した機械や設備を使ってやりたい作業などが補助金に決められたタイミングで間に合うのか検討することが必要になります。
③手続きが多いこと
補助金が貴重な税金の使いみちの一つであるという性格上、申請してから実際にお金が入金されるまでに乗り越えなければならない手続きが多いという特徴があります。特徴的なのは、申請・許可というやりとりが複数回あることと、見積書、請求書、領収書、購入する機械設備のカタログなど、金額の根拠になる書類をたくさん求められることです。
申請から入金までには、その都度要求される書類などを全て揃えて提出するいうやりとりを乗り越える必要があり、さらに、入金後にもきちんと申請どおりに補助金を使ったかどうかのチェックがあります。それが何年にもわたる補助金もありますので、予定組みと根気が必要になります。
④使いみちが限られていること
補助金には目的があるので、使っていいもの、だめなものが決められています。補助金の目的以外にも使い回しができる自動車やパソコン、不動産の購入には使えない場合が多くなっています。
また、採択が決まった後や入金があった後も注意が必要で、あくまでも申請したとおりのものに使用できるのであって、補助金としてもらったお金の流用や補助金で購入したものの転売は制限されています。
このように、注意点がたくさんあるのですが、ポイントを一つ一つクリアしていけば、経営にプラスにすることができますので、なんとかクリアして活用できるといいですね。
【4.補助金申請のポイント】
補助金の特徴として、限られた予算を審査で上位になった方に補助するという点があります。つまり、プレゼンテーションで競争し、勝ち残った人が補助を受けられるということです。これは、助成金などでは異なっていますが、多くの補助金で行われていることです。そのため、次のことがポイントになってきます。
それは、
①情報を掴めるようにしておくこと
②申請する計画が魅力的で、実現できそうなものであること
③書類や申請手続きに不備がないこと
この3点です。
まず、①情報を掴めるようにしておくことについて。
前述のとおり、特に人気の補助金ほど競争になりますので、計画の作成などに時間がかかります。しかし、補助金は国や自治体が予算を取れないと実施できないので、予算が取れると始まって、その都度ホームページなどでお知らせされます。ですので、日頃から情報をチェックしておくことや、農業者向けの補助金であれば、窓口の担当の方とよく連絡をとっておくことがプラスになります。
次に、②申請する計画が魅力的で、実現できそうなものであることについて。
補助金は、それぞれの目的を持ったものですので、投入した補助金の効果が得られそうな計画が採用されやすくなります。
そのためには、申請されている事業の計画が多くの消費者に受け入れられ、売上げが上がりそうなものであることや、自社の強みや弱点をよく分析して収入と支出がきちんと計画されていて、その計画が信頼できることがポイントとなります。
最後に③書類や申請手続きに不備がないことについて。
注意点のところでお話ししたように、補助金ごとにいろいろなルールが決められています。そのルールの中でも、申請期限や、契約と支出の時期を守ることが大切になります。スケジュールをよく確認して進めることがポイントになります。
【5.まとめ】
なんだかすごく大変そうだなあ、と思われたかもしれません。しかし、上手く活用することができれば、資金を獲得して経営を良くすることにつながりますので、検討する価値はあると思います。
その一方で事務負担がありますので、よく情報を確認して挑戦するか検討することが必要ですし、専門家に相談してみてもいいかもしれません。
もしよろしければ、小さなことでもお気兼ねなくご相談いただければ嬉しいです。
補助金を活用して、あなたの事業がよりよいものになることを祈念しております。